− 5/14(月) −
ギリシャ政局混乱が当分尾を引く
日経平均株価は9700円まで戻す可能性
非鉄や石油など資源関連株が下落基調を強めている。欧州債務危機の長期化により新興国経済が減速し、原油や銅の需要が後退するとの懸念が強まっているためだ。国際商品価格も調整しており、世界でも資源株を売る動きが広がっている。日経平均株価が年初来高値を付けた3月27日を起点に業種別日経平均の騰落率をみると、「鉱業」の下落率は15.5%、「鉄鋼」は15.4%、「石油」も12.7%と、いずれも日経平均(11.8%)を上回る。
資源株下落の背景にあるのがギリシャ政局の混乱など欧州の債務危機の長期化で欧州経済は減速傾向を示しており、ユーロ圏の域内総生産(GDP)は2011年10〜12月期に10四半期ぶりのマイナスとなった。15日発表の12年1〜3月期GDPがマイナス成長となれば景気後退局面と認定される。欧州債務危機の先行きが不透明なため、当面の商品価格は変動が大きくなりやすいとの声もある。
資源株も当面、不安定な値動きになりそうだ。一方、インターネット事業を手掛ける企業のうち、ネット通販や旅行サイトなど消費関連銘柄への資金シフトが起きている。高額課金問題の影響で交流サイト(SNS)経由でゲームを提供するソーシャルゲーム関連株から資金が流出し、この受け皿となっているためだ。ネット株は欧州債務危機の再燃や円高など外部要因に左右されにくい内需関連株として買われる場面が目立ったが、今後はビジネスモデル違いで株価に差が付く可能性がありそうだ。
さて、ギリシャの政局混乱が欧州市場を揺さぶっているが、ギリシャ国債利回りは直近で2%超も上昇し、そのあおりでスペイン国債利回りは9日に2週間ぶりに6%の大台を突破した。政治空白が続けば欧州連合(EU)などの支援が滞るとの観測から、ギリシャの「ユーロ離脱」を意識する投資家も増えている。もっとも、昨秋以降の危機局面とは違う。当時はギリシャの債務危機が欧州の損失や南欧の国債急落を通じてユーロ圏全体に広がった。
いまは欧州中央銀行(ECB)の資金供給などが信用不安が広がるのを防いでおり、南欧の国債利回りは危機水準には達していない。ギリシャに限れば財政再建の危うさは増し、政局混乱がそれに拍車をかけている。日経平均株価は8〜9月にかけて9700円程度まで戻すだろう。日本企業は今後、震災の復興需要が本格化するほか、スマートフォン(高機能電話=スマホ)の需要拡大で電子部品なども需要増が期待される。
在庫の積み増しなどで企業業績は10〜12月期までは好調が見込まれ、見直し買いが入りやすい。内外金利の低下で個人の資金が投信を含めた株式投資に流入しているのも需給面では明るい兆候だ。ただ、欧州は財政不安がくすぶり、米国も雇用や住宅投資の回復が遅れている。円相場下落も一服感が出ており、株価の上昇は緩やかで上値も限られそうだ。
9531 東京ガス
発電事業の拡大に動く
純利益の60%以上を株主還元の方針
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故を受け日本のエネルギー政策は大きく変わってきている。見直しが進む国のエネルギー基本計画では、化石燃料の有効活用、中でも天然ガスシフトの加速が示唆されている。東京ガスでは2020年までの長期ビジョンで、天然ガスの調達先の拡大・多様化や天然ガス火力発電の拡大(=卸電力、IPP事業の拡大)などを示している。
既に豪・加のガス田に対して権益を獲得する案が出ている。シェールガスやCBMなどなど従来型ではないガス田の権益を得ていることもプラスに評価されるだろう。政策としての天然ガスシフトが加速し、ガス需要の増加が見込まれる中、調達先の多様化などを進める同社の取り組みに今後も注目が集まると思われる。
東京ガスは1885年に東京瓦斯局(76年設立)の払い下げで設立の都市ガス大手。小口料金値下げで今期以降の業績予想を下方修正したが、中期的なガス販売量拡大のポテンシャル(潜在力)は大きいだろう。今期以降は千葉〜鹿島ラインの運転開始による燃料転換(主に石油からガス)需要の取り込みという東日本大震災前から見込んでいた要因に加え、電力不足によるコージェネレーション(自家発電)の需要増があろう。
電力会社のオール電化の普及ペースは鈍化し、限界利益率の高い家庭用ガス需要が侵食される影響が軽減されよう。東京電力の電気料値上げで価格競争は緩和され、ガス需要が増加する可能性がある。拡大が予想されるガス需要の開発投資として、2012年3月〜4月に千葉〜鹿島ライン、13年10月に扇島のLNG(液化天然ガス)タンクがある。2015年度をめどに、日立LNG基地及び茨城〜栃木幹線の営業運転が始まる見通しだ。
12年7月に運転開始予定の東京電力の鹿島LNG火力(出力804MW程度)にもガスを供給する計画がある。同発電所は14年7月までに1,248MWへ能力が増強され、ガスの増販が見込まれる。パイプラインの延伸で他地域よりも大きい潜在需要を取り込み、同社のガス販売量の伸びは相対的に高くなると予想される。経費削減は課題だが、純利益の60%以上を株主還元する方針とされる。
2012年3月期の連結純利益は、前の期比52%減の460億円だった。福島第1号原子力発電所事故以降、電力会社が火力発電に切り替えるなど代替需要が拡大した。独立系発電事業者(IPP)向けのガス販売量が想定より伸びたほか、企業が自家発電設備の整備に取り組んでいることも販売増につながった。売上高は同9%増の1兆9140億円と従来予想を450億円上回った。11年4〜12月期までのガス販売量は前年同期比微減だったが、1〜3月期に大巾に伸びたことで通期では増加に転じた。
電力会社やIPP向けなど工業用が伸び、販売量の増加をけん引した。11年度の工業用ガス販売量は前の年度から9.7%増の54億4640万立方メートルとなった。特に12年2月の販売量は前年同月比37.5%増。1月と3月も同2ケタの伸びとなり収益の上ブレにつながった。東京電力の福島第1・2原発の運転が停止したことに加え、柏崎刈羽原発(新潟県)が相次ぎ定期点検に入ったことで原発稼働率が期末にかけて大巾に低下した。
電力供給不足に備えて液化天然ガス(LNG)などを使う火力発電の比率が相対的に高まったほか、企業が自家発電設備を新たに整備する動きもガス需要を押し上げた。今冬の平均気温が例年より低めだったことも効いた。1〜3月期の家庭用や商業施設やオフィスビルなど業務用のガス販売量も暖房用や給湯用の需要増を背景に堅調だった。営業利益は従来予想を70億円上回る31%減の770億円。
原料の天然ガス価格が上昇しており、料金値上げによる価格転嫁で吸収しきれず前の期比では減益になったが、販売量の増加で上方修正した。純利益が従来見通しより110億円上回ったのは、販売量の増加に加え、投資有価証券評価損が減ったことも大きい。4〜12月期決算時点で57億円を計上していた有価証券の評価損は期末にかけて株価が回復したことで、大半が計上しなくてもよくなかった。
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